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分野課題の概況

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2012/05/14 10:00



分 野 課 題


情報通信技術 情報通信技術






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経済基盤開発部、情報通信技術課題タスクフォース






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1-1・2情報通信技術の現状・定義





情報通信技術の概況

 情報通信技術の現状
 情報通信技術の定義



情報通信技術の概況

情報通信技術の現状

 1990年代における情報通信技術の急速な発展と普及は、これを導入した国・地域の産業を高度化し、経済の生産性向上に寄与した。コンピュータはインターネットなどのネットワーク網を通じて国境を越えて接続され、これを利用した経済活動のグローバル化は進展し、コストは下がり、情報流通にかかる時間は短縮した。
 このような状況下、世界における通信サービスの普及状況ならびにデジタルデバイド(情報格差)の現状は以下のとおりである。

(1)情報通信サービスの現状

 図1-1は2005年から2009年までの世界の固定電話、携帯電話、インターネット通信サービスの加入契約数を示している。2005年からの伸び率は固定、携帯、インターネットでそれぞれ96%、211%、158%であり、2009年時点の携帯電話は46.8億加入で2005年からの伸び率および契約数とも固定電話やインターネットを大きく上回っている。これは、固定電話やインターネットに比較して携帯電話の端末機器ならびに通話料とも各社の競争によって価格が安くなったことと、携帯電話が使用可能なエリアが拡大したことが利用者急増の主たる要因と考えられる。
 なお、携帯電話の保有者数を高所得国と低所得国に分けてみると、2010年時点で全保有者47億人のうち約33億人が低所得国に属しており、その数の伸びが高所得国に比べて顕著である(貧困層支援諮問機関(CGAP)の資料より)。


(出典)平成23年版情報通信白書より編集
図1-1 固定/携帯電話およびインターネットの加入契約数


 また、図1-2は2009年の固定電話と携帯電話を合わせた電話加入契約数を示している。地域別にみるとアジアが24.7億加入で全体の43.4%を占めており、続いて欧州(17.1%)、中南米(10.7%)、アフリカ(8.3%)、北米(8.2%)、NIS(7.5%)、中東(4.1%)、オセアニア(0.7%)の順になる。


(出典)平成23年版情報通信白書より引用
図1-2 固定プラス携帯電話数の地域別比率(2009年)

 同一地域内においても国ごとに電話の普及率は大きく異なる。近年では携帯電話の普及により、固定よりも携帯電話の普及率の方が大きい国がほとんどである。同一地域ごとで携帯電話の普及率が高い方に属する国と低い方との国とを表1-1で比較した。代表例としてそれぞれに属する国を2例まで示している 。普及率が100%を越えている国があるのは、ひとりが複数個の携帯電話を所有しているからであり、その多くの場合が一つの携帯よりもカバレージ(通信可能エリア)や通話完了率(正常に相手と回線がつながる率)が改善されるという理由による。

表1-1 地域内での携帯電話普及率の比較
普及率の高い国
普及率の低い国
地域
国名
普及率
(100人当)
国名
普及率
(100人当)
アジア台湾
シンガポール
110.3
142.0
ミャンマー
ネパール
0.8
11.4
欧州エストニア
ルクセンブルク
189.7
149.8
アルバニア
ボスニア・ヘルツェゴビナ
97.9
80.7
中南米アルゼンチン
ウルグアイ
116.5
104.7
ボリビア
ガイアナ
49.8
38.2
アフリカ南アフリカ
ガボン
92.2
96.3
中央アフリカ
エリトリア
3.5
2.2
北米アメリカ
カナダ
87.6
64.7
キューバ
ハイチ
2.9
32.8
中東アラブ首長国連邦
カタール
207.8
196.6
イエメン
アフガニスタン
16.0
28.0
オセアニアニュージーランド
オーストラリア
109.6
105.6
ソロモン
キリバス
2.1
0.8
(出典)World ICT Visual Data Book 2010より編集

 2009年時点におけるインターネットの人口普及率(加入契約数/人口)は図1-3に示すとおりで全世界平均が6.2%であるのに対して北米が29.3%といちばん高く、次いで欧州(22.6%)、アジア(13.4%)、オセアニア(17.0%)、中東(7.8%)、中南米(7.3%)、NIS(7.1%)と続き、アフリカが1.2%で最も低い。


(出典)平成23年版情報通信白書より引用
図1-3 インターネットの地域別人口普及率(2009年)


(2)デジタル・デバイドの現状

 2009年での情報通信サービスの普及状況と所得の関係を図1-4に示す。これからもわかるとおり、所得が高い国の方が情報通信サービスの利用率が高い傾向にあり、デジタル・デバイドが未だに顕著であるといえる。


(出典)平成23年版情報通信白書より引用
図1-4 所得グループ別通信サービス毎の人口普及率(2009年)

 かかるデジタル・デバイドが依然存在する状況のなか、それを解消する可能性がある以下の新たな技術やビジネスモデルが登場してきている。

・モバイルブロードバンド技術
 モバイルブロードバンドは携帯端末に高速大容量の通信を提供する技術である。2012年現在でモバイルブロードバンドの普及は先進国で著しいが、途上国で現在普及している携帯電話による音声や限定的なデータ通信はモバイルブロードバンドサービスを提供しようとする通信事業者などによってブロードバンド携帯端末に移行することが予想される。
このように、携帯端末を使って利用できるサービスが多様化してきていることから、それを使える途上国の利用者人口の増加によってデジタル・デバイドを解消する一つのシナリオとなることが考えられる。

・ソーシャルネットワークサービス(SNS)
 Facebookに代表されるSNSが携帯電話を通じて接続されている実態があり、これから判断して、既に携帯電話が普及している途上国においてSNSのようなサービスやアプリケーションが携帯上で利用可能となれば、途上国でのデジタル・デバイドの縮小に寄与すると考えられる。そのためには、サービスの利用料金や使用言語など、利用者にとっての利便性に配慮したサービスの提供が普及のポイントとなる。

・新たなビジネスモデル
 PPP(Public-Private Partnership)方式やBOP(Base of the Economy Pyramid)ビジネスの登場はデジタル・デバイドの解消に大きくつながることが予想される。PPP(官民連携)方式は、国と民間が共同で通信インフラなどを整備する方式で、伝送路としての光ファイバーの敷設や無線アクセスの構築などを官民が一体となって整備する既に実績のある方式。BOPビジネスは、世界人口の約70%が占める一人あたりの年間所得が3,000ドル未満の人々(約40億人)を対象にして生活に必要な商品やサービスが流通する経済環境を提供する新たなサービスモデルである。
 ケニアの「M-PESA」と呼ばれるモバイルバンキングサービス、Nokiaがアフリカで提供している携帯電話情報サービスツールである「Nokia Life Tools」などはBOPビジネスの一例といえる。

・クラウドコンピューティング
 クラウドコンピューティングとは利用者が自らコンピュータを保有しなくても、端末とクラウドまでの何らかのアクセス手段があれば、いつでも必要な機能を必要なだけ利用できる形態。今までのコンピュータの保有から利用への転換が可能になることから、途上国におけるインフラ基盤整備にかかる費用は大幅に低減できるので、デジタル・デバイドを解消する一つの手段として考えられる。

 上記のような新しい技術やサービスの普及によってデジタル・デバイド解消への期待が高まるなか、ICT利用者数の増加による機材への電力供給量の増大に伴う発電対策や現在の情報通信ネットワーク自体の限界が懸念される。また、意図的なサイバー攻撃や大規模なシステムの障害も実際に起こっており、情報セキュリティに対する新たな対策が必要になっている状況である。

 以上から分かるとおり、デジタル・デバイドの解消には新しい技術やサービスの利用、ビジネスモデルの導入など、支援に対しては多方面からの検討が必要であると同時に、情報セキュリティなどへの対応策にも配慮が必要な状況である。

 情報通信技術は政府など公共セクターにも導入され、事務処理の電子化、省庁のウェブサイト、申請・届け出のオンライン化などを通じて、サービスや効率の向上に役立っている。さらに教育分野においてe-ラーニングが普及するなど、社会セクターにも導入されており、国民生活の向上にも寄与している。ジェンダーの観点では、システム操作に、女性が従事することが多く、女性の雇用促進にも寄与している。このように、情報通信技術は、経済、行政、社会の各セクターを向上させることのできる重要なツールである。
 情報通信技術は18世紀にイギリスで始まった産業革命を上回るほどの歴史的大変革を社会にもたらすと言われている。「e-Japan2002重点計画」では、産業革命が世界を農業社会から工業社会に移行させたように、情報通信技術の活用は、情報流通の費用と時間を劇的に低下させ、密度の高い情報のやり取りを容易にし、世界規模での急激かつ大幅な社会経済構造の変化を生じさせ、この結果、世界は工業社会から高度情報通信ネットワーク社会、すなわち情報と知識が付加価値の源泉となる社会に急速に移行するとしている。
 情報通信技術を経済成長や公共セクター、社会セクターを改善するための重要な手段ととらえ、必要とする者は、誰もがどこでも手ごろな価格で情報通信技術を利用できる環境を整備することが課題となっている。
 グローバルな目で見れば情報通信技術の現状は日々変化している。2011年はとりわけ、スマートフォンやタブレット型携帯端末に代表される新たなモバイルデバイスの登場と、クラウドコンピューティングへのシフトはひとつの大きな変化としてとらえることができる。スマートフォンなど新世代のモバイルデバイスはそれら端末から操作できるアプリケーションの多様性から通信業界全体に及ぼす影響力が大きく、従来の携帯電話業界の構造まで変化させる。また、スマートフォンを介して提供されるサービスが国を越えて利用できることから携帯端末のグローバル化が進むことが予想される。
 一方、クラウドコンピューティングは、従来利用者がPCなどのハードやソフトウェアを所有する状態から利用する状況への変化をもたらす。この変化が進めば、所有に必要なコストや機材の維持管理の労力を低減することが可能となり、コンピュータの運用に必要な利用者の技量や能力も変化してくる。
 以上のようなグローバルに起こっている技術動向の現状を見据えながら途上国に対する援助内容を検討することが重要である。

情報通信技術の定義

 英文略称としては、情報通信技術を英訳したInformation and Communication Technologyの略語である「ICT」が世界銀行を中心として使われているので、本アプローチにおいても「ICT」を使用する。
 ICTは情報技術と通信技術の両方を含む概念であり、情報を入力、記憶、処理、伝達、出力する技術である。
 文字、音声、画像の各情報はデジタル化されることで、伝送時のエラーが少なくなり、より高速の伝送が可能となった。また、デジタル化された情報はネットワークを通じて多くの端末やホストコンピュータと接続することによって多様化・多機能化した情報通信システムが構築される。さらにWWW(ワールド・ワイド・ウェブ)方式が開発されたことで、インターネット上に存在するこれら情報を統一的に得ることが可能となった。WWWではドキュメントの記述にHTMLなど、別のドキュメントのURI(統一資源識別子)を参照することによって、インターネット上に散在するドキュメント同士を相互に参照可能にするシステムであるハイパーテキストが使用される。
 なお、放送は日本の放送法において「公衆によって直接受信されることを目的とする無線通信の送信」と定義されていることから本指針においてもこの定義に準ずる。
 またICTの協力とは、開発戦略目標に沿って、ICTに関する政策策定能力の向上、人材の育成、インフラの整備、利活用の促進に関わる支援をさす。

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