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課題別指針



カ テ  ゴ リ


アプローチと重点項目

更  新  日


2012/05/14 10:13



分 野 課 題


情報通信技術 情報通信技術






主  管  部


経済基盤開発部、情報通信技術課題タスクフォース






ト ピ ッ ク ス

















開発戦略目標3 ICTインフラの整備





開発戦略目標3 ICTインフラの整備

 中間目標3-1 情報通信基盤の整備
 中間目標3-2 ICT拠点の整備


開発戦略目標3 ICTインフラの整備

 ICTの用語は、すでに久しく使われてきたマルチメディア概念の延長線上で広く用いられており、その内容は情報処理・電気通信・放送等が融合されたものとして一般に理解されている。とりわけ、インターネットを中心としたネットワーク技術の利用が一層重要性を増してきた今日、社会活動の諸分野でいかにICTを効果的に活用できるかという点が焦点となっている。
 このICT利活用の一層の推進のためには、政策支援、人材育成および諸分野での固有の活動が必要となるが、それらが可能となるためには通信基盤の整備が不可欠であり、この開発戦略目標に関しては以下の各中間目標に示す協力方向が考えられる。

中間目標3-1 情報通信基盤の整備


 通信基盤という場合には、通信網の機能上からバックボーン・ネットワークとアクセス・ネットワークに分けて考える必要があり、さらには途上国においてはルーラル地域のインフラ整備という面を切り出して取り上げる必要がある。
 バックボーン・ネットワークの整備においては、途上国においてもパケット通信によるIPネットワークから次世代ネットワーク(NGN)技術導入の方向へ進むことが必至であり、また、携帯電話やインターネット利用者数の急激な伸びを考えると、通信網における通信容量をどの程度持たせるかという面が検討課題となり、さらにはその信頼性確保が課題となってくる。
 固定通信のアクセス・ネットワークについては、伝送品質向上のためにFTTxの導入促進などが目標となろう。また、移動のアクセス・ネットワークについては、高速移動通信用の仕様も可能なWiMax(Worldwide Interoperability for Microwave Access)の導入なども考えられる。
 ルーラル地域インフラ整備については、サービス未提供地域の解消や、当該地域の産業振興に資する通信インフラの整備などが重要な目標となる。その場合に、必要経費が大きいことに加えて、料金収入により収支バランスをとることが近い将来には未だ不可能であることから、これらの施策を行うに際しては、実現までのロードマップ、適用技術、必要経費予算確保や資金調達可能性などについてそれぞれの国情に応じたきめ細かい計画が求められる。なお、WiMaxは人口が希薄な地域や、地形の影響で有線の敷設が困難な地域でのラストワンマイルの接続手段としても有用である。
 ネットワークの構築に際し、それぞれの利点・欠点を表2-4にまとめた。

表 2-4 ネットワーク伝送路の種類
伝送路の種類
使用場所
利点
欠点
備考
有線
銅線主として加入者網安価で世界中に普及している。既存の銅ケーブルをxDSL技術によって現在よりも高速通信が可能となる。光ファイバーよりも速度・容量ともに低く、周囲の電磁環境からの影響を受ける。音声のみの通信線路に適する。
新たに線路を敷設する場合は将来の容量増を見込んで光ファイバーにするのが適当。
光ファイバー基幹伝送路網および加入者網高速大容量の伝送が可能であり、周囲の電気環境からの影響を受けない。また、可とう性に優れ敷設に柔軟に対応できる。光信号がノードに出入りするときに電気信号への変換が必要であるが、変換によって信号速度が低下する。加入者網の敷設にはFTTH(加入者宅まで直接)、FTTC(途中のキャビネットまで)、FTTB(大口加入者ビルまで直接)などの方法がある。
無線
マイクロ波基幹伝送路網数十キロ毎に無線中継所を設けるだけで長距離の伝送が可能となる。光ファイバーに匹敵する高速大容量の伝送はできない。平坦な場所に長距離の伝送路を築く場合に適当。起伏の多き地形の場合には中継距離間隔が短くなる。
WiMAX加入者網加入者宅までの配線工事が不要なため短期間で安価にネットワークを構築できる。また、移動体との通信にも利用可能。光ファイバーに匹敵する高速大容量の伝送はできない。技術進歩により伝送容量、速度ともに高速大容量化に向かっている。FTTxのラストワンマイルの構築も可能。
衛星基幹伝送路網上空から電波の送受信を行うことから、地上の広域に分散する地点と効率的にネットワークを構築できる。衛星を介することから多少の伝送遅延が生じる。また、光ファイバーに匹敵する高速大容量の伝送はできない。超小型衛星地球局(VSAT)と呼ばれる小口径のアンテナから大口径まで様々。山岳地で地上からの通信アクセスがとりにくい地域に適している。
JICAの取り組み

ICT基盤整備に関してJICAは、1987年のタイ国における電話網拡充事業を有償資金協力で実施して以来、数々の案件を無償資金協力や開発調査を含め行ってきた。これらの事業はバックボーン・ネットワークやアクセス・ネットワークの整備支援であり、あるいはルーラル地域を対象にしたICTインフラの整備支援である。イラクの戦後復興事業として2004年から、南北約1,000キロメートルにわたる基幹通信網を復旧する無償資金協力を実施し、2010年10月に全基幹伝送路が完成した例もある。
ICTネットワークは従来の公衆交換電話網(PSTN: Public Switched Telephone Network)から次世代ネットワーク(NGN: Next Generation Network)へと移行しつつあり、さらには新世代ネットワーク(NWGN: New Generation Network)の実証実験も行われている状況下、途上国へのICT基盤整備の計画においては既存の通信網の状況を分析したうえで最適な網計画を提案する必要がある。


中間目標3-2 ICT拠点の整備

 ICT拠点の整備にはICTパーク整備、データセンター整備、公共利用拠点整備をサブ目標に含むものとする。
 ICT拠点のイメージは情報処理機能サービスを提供できる計算センター、ICTを研究するリサーチセンターやICT企業、情報通信を専門とする大学などが拠点に含まれる。なお、ICT拠点の整備を考える際クラウドコンピューティングの機能を拠点の中にもつことも視野にいれて検討する必要がある。
 クラウドコンピューティングとは、ネットワーク、サーバー、アプリケーションなどの計算機資源を保有するサービス提供者に利用者がアクセスして必要な計算等を可能にするモデルと定義することができる。すなわち、コンピュータのアプリケーションを使用したいと思う利用者は自らそのソフトやハードウエアを保有することなしに、必要なサービスのみを提供者から受けるシステムである。したがって、クラウドコンピューティングを採用することによって、利用者は端末のみを用意すればよく、コンピュータやアプリケーションの購入や維持管理から解放されることから、予算的な制約やコンピュータの知識や操作に熟達していない人でもそれを容易に扱うことができる。
 例えば、途上国のICT拠点にクラウドコンピューティングの機能を設け、全国の自治体とネットワークで接続することによって、各自治体が自らコンピュータを所有したり、そのための維持管理要員を配置する必要もなくなることから行政コストを大幅に削減できる。このことは全国レベルでのICT利用が進むものと考えられる。
 なお、課題もあり、利用者のデータがクラウドに集積されるため、クラウド提供側の機材に障害が生じた場合には利用者もその影響を受ける。また、利用者のデータがクラウド提供者に委ねられることから、情報の漏えいやセキュリティ対策を万全にしておく必要が出てくる。

JICAの取り組み

JICAは、マレーシアにおける「インターネットによる地域情報化の推進に関する調査」(2002年1月~2003年3月までの開発調査)を実施し、マレーシアが進めていた、コンピュータやインターネットの利便性を広く地域の人々に理解させる拠点として、各州に無料で利用できる「地域インターネットセンター(RIC)」をさらに有効活用するための地域情報化アクションプランの策定を支援した。また、「 タイ・モンクット王ラカバン工科大学(KMITL)情報通信技術研究センタープロジェクト」(1997年~2002年9月までの技術協力プロジェクト)では、大学院教育の充実と国際的研究開発水準の達成を目的にした「情報通信技術研究センター」を学内に設置するための支援を行った。
今後は、ICTパーク、データセンター、公共利用拠点などの整備に関し、クラウドコンピューティングの採用を検討するなど最新の技術動向を見据えて整備計画を立てる必要がある。



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