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課題別指針



カ テ  ゴ リ


アプローチと重点項目

更  新  日


2012/05/14 10:34



分 野 課 題


情報通信技術 情報通信技術






主  管  部


経済基盤開発部、情報通信技術課題タスクフォース






ト ピ ッ ク ス

















【放送】放送に対するアプローチ 開発目標3 放送施設・機材の整備





開発戦略目標3 放送施設・機材の整備

 中間目標3-1 放送基盤の整備
 中間目標3-2 コンテンツの整備


開発戦略目標3 放送施設・機材の整備

中間目標3-1 放送基盤の整備

 ラジオ、テレビの放送局や送信設備は、通常首都や大都市に存在している。特にテレビ放送は送信・中継設備が国内全体に整備されている場合は少なく、放送電波から圏外となっているルーラル地域が多く残されている。ラジオ放送に関しても、電波の届きにくい諸島や山岳地帯などでの整備が急務となっている。

 このような状況のなか、テレビ放送はアナログ波の送信からデジタル波送信へと移行しつつあり、これに伴ってテレビ放送送信機材もデジタル方式へ移行する必要がある。地上デジタルテレビ放送にはテレビ画像の鮮明さなどのメリットも多いが、最大の利点は周波数資源の有効活用が可能になる点である。日本の場合にはデジタル化のために利用されるUHFの周波数470MHz – 770MHzの帯域はアナログ放送に比較すると65%の占有で済むことになり、残りの35%分を携帯電話、地上デジタルラジオ放送、高速道路交通システムなどの新しい用途に割り当てが可能となる。なお、地上デジタルテレビ放送の世界動向を採用方式について図2-3に示した。



(出典)平成23年版総務省情報通信白書より引用・編集
図2-3 世界各国の地上デジタルテレビ放送の動向(2011年10月現在)


 総務省は、山岳地帯やワンセグなどの移動端末でも受信可能な日本方式の地上デジタルテレビ放送の推奨を積極的に海外展開し、2011年10月時点でブラジル、ペルー、アルゼンチン、チリ、ベネズエラ、エクアドル、コスタリカ、パラグアイ、フィリピン、ボリビア、ウルグアイ、モルディブの12か国が日本方式の採用を決定している。日本政府としては今後、関係機関等と連携しながら日本方式機材の円滑な導入に向けての技術協力や資金協力、ならびに人材育成などの支援を実施、継続していく予定である。

 以上のように、アナログテレビ放送の受信も困難な地域が存在する一方で、世界の傾向はデジタルテレビ放送に移行している実情を踏まえながら放送基盤の整備を行う必要がある。
 
 また、技術革新とともに、放送番組の提供と制作に必要となる放送機材や放送送信システムも日々変貌を遂げている。たとえば、従来、映像素材はテープのダビングを利用して編集加工が行われていた(リニア編集)が、近年においては、映像をデジタルデータに変換し、コンピュータ上で編集・管理する(ノンリニア編集)ことが主流となってきている。また、CGを利用した情報番組(天気予報など)の制作も増加しているほか、デジタル放送に移行すると、番組に同期したデータ放送も可能となる。報道取材現場においても、従来は専用の設備と高価な専用回線を利用して伝送していた映像が、パソコンとIPネット網を利用することにより、瞬時に編集スタジオを備える局に伝送が可能になるなど、放送番組制作現場においても、デジタル化とマルチメディア化が進展している。こうした時代の流れに適応した機材の整備が求められている。

JICAの取り組み

  放送基盤の整備に関して、JICAは1970年代より数多くの協力を実施してきた。その内容は途上国の状況の変化に応じたものとなっている。1970年代~1990年代前半は、テレビよりもラジオ放送への協力が目立ち、ラジオでは放送網のサービスエリア拡大のための送信設備の整備、テレビでは初等~中等教育向けの教育チャンネルへの協力が多く行われた。1990年代後半からは、1970~1980年代に整備された施設が老朽化し、またアナログ機材の製造中止により修理部品の調達が困難となり 、それらの更新を目的とした協力が増加している。また、途上国間で放送分野の発達度の差が顕著になり始め、放送分野の中進国へは全般的な放送人材育成もしくは報道番組の充実といった特定の能力向上を目的とした協力事例が、また、後進国へは老朽機材により縮小したサービスエリアの拡大や放送中止の危機回避のための施設・機材整備といった急を要する事例が多い。近年では後者への協力が目立つ。技術革新による放送機材の変化に合わせ、過去に協力を行った放送局に対し機材更新やフォローアップも多く行われていることが特徴である。



中間目標3-2 コンテンツの整備

 途上国のテレビ放送局では、他国(主に先進国)から購入したコンテンツを流している時間帯が多く、自主制作番組の割合が非常に低い。都市の住民に比べて情報の少ない地方の住民へより裨益する情報を放送するためには、ローカル・コンテンツの質と量を向上させることが重要である。さらに、途上国の中には国家が他民族で構成されており、国内に多数の地方言語が存在する国も多く存在するため、より多くの人々へ情報を届けるためには、それらの言語へも配慮し翻訳が必要となる。しかし、途上国の放送局ではそのキャパシティの低さから、公用語や首都圏で使用されている言語でのみ放送されているコンテンツが多いのが現状である。他言語性と非識字人口を考慮し、吹き替えによる他言語放送の実現や、コミュニティ放送への支援などが望まれる。

 制作された放送番組は、ライブラリとして保存され、二次利用し得る重要な財産となる。近年のデジタル技術の発達により、従来は番組タイトル・出演者・製作者などの簡単な情報がVTRと紐付けされているだけだったものが、放送をメタデータ化し、VTRに記録されているメタデータを利用することで瞬時に大量の放送ライブラリの中から、必要な素材のみを抜き出し、利用することができるようになる。このように、デジタルコンテンツライブラリデータベースを構築することにより、保有するコンテンツの価値を高めることが可能となる。

留意点

・ 2008年10月以降、有償資金協力のスキームが加わったことなどにより、JICAとしての放送基盤整備支援は今後増えていく可能性があるが、経営改善なくして機材導入のみを支援することはありえない。また、国営放送機関のみを対象とするのでなく、ファンド設立等を通じた民間放送支援も視野に入れるべきである。

・ 地域間の情報格差を生じさせないよう、中継局や送信所を増設することで放送網を拡大し、大都市に集中しがちな放送局の放送を、地方に伝達する配慮を怠ってはならない。

・ 近年、先進国では、デジタル放送への移行が急速に進んでいる。途上国においても、デジタル放送の導入を検討している国も多い。しかし、デジタル放送を受信するためには、アナログ放送受信機器(テレビ・ラジオ)の更新が必要となり、更新コストを支払えなくなる人々が多いことが予想される。デジタル放送への移行に際しては、このような点にも配慮して計画を進める必要がある。

・ デジタル放送以前に、まずはテレビ・ラジオ放送を受信するための電源が確保される必要がある。途上国の地方においては電化されていない地域がまだ多く、この点において放送を普及するための方法を工夫し、新たなデジタル・デバイドを発生させないような努力が重要であろう。

JICAの取り組み

  アジア/アフリカ諸国のためのテレビドキュメンタリー番組作成プロジェクト(技術協力プロジェクト)、国営テレビ局番組ソフト整備計画(無償資金協力)、テレビジョン番組制作フォローアップ(技術協力プロジェクト)、国営ラジオ・テレビ局番組ソフト整備計画(無償資金協力)などのコンテンツ整備支援を行っている。今後も、技術協力プロジェクトや無償資金協力による支援が本分野での援助方向になろう。



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