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課題別指針



カ テ  ゴ リ


アプローチと重点項目

更  新  日


2012/05/14 10:31



分 野 課 題


情報通信技術 情報通信技術






主  管  部


経済基盤開発部、情報通信技術課題タスクフォース






ト ピ ッ ク ス

















【放送】放送に対するアプローチ 開発目標1 放送政策策定能力の向上





開発戦略目標1 放送政策策定能力の向上

 中間目標1-1 放送政策の確立
 中間目標1-2 放送法/制度の整備

開発戦略目標1 放送政策策定能力の向上

中間目標1-1 放送政策の確立

 放送は、公共の福祉を増進するという目的のうえで、真実、公正に、そして地域性をもって提供されなければならない。また、放送に利用される電波は有限希少な資源であり、公平かつ効率的な利用が確保されなければならない。電波の利用においては、ITU憲章にて規定された国際周波数分配表に則り、混信を避けるために近隣諸国と協調しつつ、周波数の使用割当計画を策定する必要がある。そのため、どこにどのような放送局をどのくらい設置するか、また、どのような放送サービスを提供するのか、地域間のデバイドが生じないように配慮しつつ、放送マスタープランを策定することが求められる。外資系放送局の参入やデジタル放送への移行を見据え、放送局ごとに、具体的な周波数を割り当てる計画を策定していくことも重要となる。
 さらに、先進国におけるデジタル放送への移行に伴い、途上国においても、デジタル放送の導入計画が進んでいくことが予想される。放送のデジタル化により、多チャンネル化・高品質化・高機能化が実現され、双方向サービスの提供を通して、新たな利活用方法を開発することができる。放送のデジタル化とは、番組の制作・送出・送信・受信のそれぞれの段階における設備がデジタル化されることを意味しており、デジタル放送への導入には全体的なマスタープランの策定が必要となる。

JICAの取り組み

  放送政策の確立に対する支援に関して、ICTの進歩により放送と通信の融合化傾向が顕著になってきている。これはインターネット網のブロードバンド化ならびに放送設備のデジタル化によるものである。したがって、放送政策を確立するためには放送と通信の両側面からの検討が必要となる。日本の場合、これに関連する法律は放送法、電波法、電気通信事業法であるが、ブロードバンド化とデジタル化の進展に合わせて制度の整理と合理化のため、これらの法律を統合して60年ぶりに新たな法体系を作り2011年6月に施行している。

  JICAは専門家派遣、集団研修、開発調査などを通して放送政策の確立に対する支援を1962年から行ってきているが、技術協力プロジェクトも含め、最近の技術進歩にさらに合致する支援プログラムを行う必要がある。


中間目標1-2 放送法/制度の整備

 放送は、電波を利用して瞬時に広範囲に情報を伝播するため、社会に対して大きな影響力を有する。放送の真実、公正および表現の自由の保障を定めることにより、民主主義の発達と公共の福祉を図っていくことが求められる。放送される内容が、特定組織や個人の影響を受けることを避けるために、放送番組の制作、放送組織の運営などにおいては、表現の自由が明確化されるとともに、従うべき規律や基準の策定が重要となる。放送法を整備し、独立した監督機関の設置や放送倫理基準の策定を通して、民主主義の発達と公共の福祉を促進していくことが必要である。また、放送における地域格差については、採算性が低い地方部の電力確保を含めたインフラ整備に関し、公的に支援していく制度・枠組みの確立も重要になる。

 また、世界的に「小さな政府」が推進される中で、途上国の国営放送局も、公社化や民営化の流れのなかにある。政府からの助成金に頼ることも難しくなっており、放送局は自身で資金を確保する必要に迫られている。今後は、民間企業としての経営体制の確立と、受信料徴収のシステムの整備やCM広告収入を目的とした営業マーケティング活動よる、資金確保手段の確立が必要かつ重要になるであろう。

 放送法/制度に関連した動向として通信と放送の融合があげられる。日本では通信と放送を区別する制度的な根拠は、電気通信事業法が定める「有線、無線その他の電磁的方式により、符号、音響又は影像を送り、伝え、又は受けること」という定義と、放送法が定める「公衆によって直接受信されることを目的とする無線通信の送信」の定義に依るものである。

 かかる通信と放送との区別は、通信衛星を用いた映像の配信が普及するに伴って曖昧になり、公衆に直接受信させることを送信者が意図していることが、送信者の主観だけでなく客観的にも認められるかどうかという基準を日本では採用している。具体的には、①送信者と受信者の間の紐帯関係の強さの程度と受信者における属性の強さの程度、②通信の事項が送信者と受信者の紐帯関係や受信者の属性を前提としているかどうか、③情報伝達方法の秘匿性、④受信機の管理、そして⑤広告の有無、である。

 一方、通信と放送の融合が加速するなかで、日本は2001年6月に電気通信設備を用いた放送を制度的に可能にするために「電気通信役務利用放送法」を制定し、融合への一歩を踏み出した。本法の定めによる電気通信役務利用放送とは、公衆によって直接受信されることを目的とする電気通信の送信であって、その全部または一部を、電気通信事業を営む者が提供する電気通信役務を利用して行うことをいう。なお、この法律は2010年11月の放送法の改正によって有線ラジオ放送法、有線テレビジョン放送法とともに改正放送法に統合された。

 以上のように、通信と放送の融合は放送関連法と電気通信関連法双方の法的ならびに制度的変更が必要となる。また、融合に伴って制度的な面のみならず、技術面での融合、業界の再編成およびコンテンツの融合も関わってくることを認識しておく必要がある。


留意点

  ・アナログ放送からデジタル放送への移行において、もっとも問題となる点は、デジタル放送受信機の普及にあると考えられる。デジタル放送の周知・広報を通じて人々の理解を促す努力に加え、受信機の価格を安価におさえる政策努力も必要となる。例えば、日本では1998年10月に政府が地上放送のデジタル化を表明して以来2011年の7月にアナログテレビ放送が終了するまでの13年間に、電波法等の改正(2001年)、三大都市圏での地上デジタルテレビ放送の開始(2003年)、ワンセグ放送のサービス開始(2006年)、全都道府県で地上デジタルテレビ放送の開始(2006年)などを経て地デジへの移行を実現しており、国民の理解に基づく円滑な移行のための環境整備が何よりも重要であることを経験している。移行のための地デジ推進組織として「地上デジタル推進全国会議」を2003年に組織し、視聴者の相談・支援の拠点となる「総務省テレビ受信者支援センター」を2009年に全国都道府県に設置するなどの環境整備を行ってきた。

  ・デジタル放送の導入に際しては、放送された番組のコピーが容易となるため、知的所有権の問題にも対応していく必要が生じる。

  ・派遣される専門家は、政策面や法律面だけでなく、技術的な観点からのアドバイスが必要となるため、幅広い分野の知見が要求される。

  ・派遣される専門家は、特定機関・組織・個人による影響を受けてはならず、常に中立的な立場で支援を実施することが求められる。

  ・国により歴史・経済基盤・民主化の発達度合が異なり、放送の背景が違うため、一律に民営化支援を目標にすることはできない。


JICAの取り組み

  放送法/制度の整備に対する支援に関して、放送行政の強化に高い優先順位を置く途上国はまだ少なく、本分野での協力事例は多くはない。しかし放送分野の健全な発展には、管轄省庁による放送行政が果たす役割は重要である。例えば、放送法の制定、効率的かつ適切な周波数割当計画の策定、デジタル放送移行に向けたマスタープラン策定、放送内容の質を維持する監視団体の設置などが挙げられる。またコミュニティ放送が増加しており、地方政府との調整や地方政府自体の役割も重要性を増している。途上国の放送分野が発展するにつれ、本分野での協力事例も重要度を増すと考えられる。


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