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課題別指針



カ テ  ゴ リ


協力の現状・実績

更  新  日


2012/05/15 10:57



分 野 課 題


情報通信技術 情報通信技術






主  管  部


経済基盤開発部、情報通信技術課題タスクフォース






ト ピ ッ ク ス

















【放送】主な協力事例





主な協力事例
 
 技術協力
 資金協力
 ボランティア
 

主な協力事例


 JICAの放送分野の協力は、技術協力(技術協力プロジェクト、専門家派遣、研修員受入など)、無償資金協力、有償資金協力(2008年10月までは国際協力銀行(JBIC)にて実施)、市民参加事業(青年海外協力隊(JOCV)派遣など)などの各種スキームを通じて行ってきた(主な協力案件は、別表「放送分野関連案件リスト」参照)。途上国放送分野の変化により、協力内容も過渡期にあり、近年は全体的に案件が減少する傾向にある。

 放送局への協力の場合、各国唯一の国営放送局や旧国営公社局に対して実施されてきたため、同じ局へ各スキームによる協力が行われている事例も多いが、ここでは、スキーム別の主な協力事例とその特徴を述べる。

技術協力

 JICAの技術協力は、技術協力プロジェクト(技プロ)、専門家派遣、研修員受入、開発計画調査型技術協力(旧開発調査)に分類される。この内、放送分野の協力に関する開発計画調査型技術協力はこれまでほとんど実施されていない。放送分野における技術協力としては、主に「開発戦略目標2:放送組織・人材の育成」に対する協力が行われてきた。また、案件数は少ないが、「開発戦略目標1:放送政策策定支援」、「開発戦略目標4:各分野への放送活用」に対する協力も行われている。

技術協力プロジェクト(技プロ)

 放送分野における技プロは、主に「開発戦略目標2:放送組織・人材の育成」を目的として、対象組織・人材のキャパシティ・ディベロップメントを図ってきた。専門家派遣、機材供与、研修員受入等の投入要素を柔軟に組み合わせることで、より高い成果を目指してきた。

 以下に、インドネシアにおいて実施された技プロで、主に「開発戦略目標1:放送政策策定能力の向上」を目的とした事例を示す。

インドネシア「デジタル放送の導入計画立案に係る通信情報省能力向上プロジェクト」(2007~2009)

 インドネシアではテレビ、ラジオをあわせて約1,100局が放送を行っているが、中央政府、地方政府が未調整のまま周波数を割当てた結果、乱雑な周波数割当となり、電波障害が発生している。また2025年にはアナログ放送を廃止し、デジタル放送への移行が検討されている。

 現状の改善と将来的なデジタル放送への移行を考慮し、ラジオ・テレビ放送に関する放送政策及び長期計画の策定、また担当省庁である情報通信省における放送行政の実施体制強化を目的に、本プロジェクトが計画された。本プロジェクトが目指す成果は以下の3点である。

①通信情報省において、他国のデジタル放送の実情が把握される。
②通信情報省において、計画立案に関するプロセスが整備される。
③通信情報省において、デジタル放送の計画立案がなされる。

 以上の成果を達成するため、専門家派遣(放送政策、デジタル放送移行計画、デジタル放送技術の各分野)、通信情報省からの研修員受入(デジタル放送移行計画、放送行政と免許制度、公共放送)、機材供与(放送行政に関する情報のデータベース構築)などを実施した。

専門家派遣

 特に1980年代より、技プロの活動として、または個別専門家として、数多くの専門家が派遣されている。その内容は多岐にわたるが、テレビ局の人材育成を目的に番組制作や放送技術の専門家が派遣された事例が多い。その他、第三国研修の教職者育成、新技術に関するセミナー開催、政府関係機関にて視聴覚教材や教育番組の作成、といった協力も行なわれている。

 以前は放送局の制作者や技術者の担当業務が明確に分かれており、放送局の人材育成には各分野の専門家が必要であった。しかし機材のデジタル化に伴い番組制作の簡素化・効率化が進み、途上国放送局でも一人が複数業務をこなす番組制作スタイルへ変化しつつある。協力を継続する上では、専門技術に加えデジタル時代の制作スタイルを考慮する必要があるが、リソースの確保が容易ではなく、近年は個別専門家派遣が減少の傾向にあるのが現状である。

研修員受入

 放送分野の研修は、本邦で行なわれる課題別研修(集団研修、地域別研修)や国別研修、途上国で行なわれる第三国研修がある。集団研修の歴史は古く、数多くの研修員を迎えてきたが、近年では途上国または放送局間での機材・技術格差が顕著となり研修内容のレベル設定が難しく、また安価なデジタル機材の普及により本邦で研修を実施する優位性が薄れる傾向にあり、過渡期を迎えている。国別研修は、無償資金協力や技プロの活動の一つとして、各案件の目標に合わせて実施される事例が多い。日本の放送局内での実地研修を望む声もあるが、受け入れ機関の確保が困難なのが現状である。

資金協力

 無償資金協力について、これまでは外務省が事業を実施し、JICAは事業の実施支援を行ってきたが、2008年10月以降はJICAが実施主体となった。また、有償資金協力についても、2008年10月のJICA・JBICの統合後は、JICAが実施することとなった。

 無償資金協力・有償資金協力では、主に「開発戦略目標3:放送施設・機材の整備」に該当する放送局の建設・整備や、放送機材の整備などに対する協力を行ってきた。一部では「文化無償資金協力」のように、コンテンツの支援を行い、日本の教育番組、ドキュメンタリーなどを供与している(2008年10月以降JICAが担当。それ以前は外務省が担当)。以下に無償資金協力の典型例として3件の事例を示す。

ネパール ラジオ放送への協力

  (無償)「中波ラジオ放送網整備拡充計画」(1981~1983):送信所とスタジオ建設等
  (無償)「中波ラジオ放送網拡充計画(Ⅰ、Ⅱ)」(1988~1989):送信所とブース局の建設等
  (無償)「短波・中波放送局整備計画」(2006~2008):放送・送信施設と機材の更新

 ネパールでは、貧困や社会的不平等を削減するツールの一つとして、国民が等しく情報にアクセスできるラジオ放送が重要視されている。唯一の全国放送サービスを提供するラジオネパール(RNE)に対し、1981年に放送用スタジオや拠点となる送信所の建設、1988~1989年には全国放送網構築を目指し、送信所やブースター局の建設を行った。その結果、1991年には中波ラジオ放送網が人口の75%をカバーするに至った。しかし、施設・機材の老朽化や内乱による破壊活動により、2005年までにカバー率が48%まで低下したほか、放送停止などのトラブルの頻発、放送時間の減少という状況に陥った。

 これらの問題を改善し、全国放送網を再構築するため、2006年から中波放送局舎や施設の改修、送信機材の更新に関する協力が行われた。

セネガル テレビ放送への協力

  (無償)「放送施設整備計画」(1987~1988):ラジオ・テレビ局舎整備、放送機材の供与
  (無償)「国営放送局(RTS)TV放送機材リハビリ計画」(2005~2006):アナログ設備・機材をデジタルに更新

 セネガル国営放送局(RTS)は1973年に発足、当初は住宅を改造した施設で番組を制作し、送信していたが、1988年の協力により、テレビ番組用スタジオ、ニューススタジオ、主調整室、編集室及びラジオ用の番組スタジオ等を含む局舎が建設された。2000年には世界銀行の協力により、衛星伝送装置とパラボラアンテナを設置、ラジオは国内全国放送、地域放送、周辺国への国際放送を行い、テレビは全国民の70%をカバーするまでに至った。

 1990年代後半以降、1988年に整備されたアナログ機材の多くが製造中止となった。安価な機材はRTSが更新してきたが、高価な機材は修理・更新ともに困難となり、2005~2006年にテレビ放送の主調整、スタジオ、編集システム等をデジタル機材に更新し、技術者の研修も合わせて行なった。セネガルは、公用語のフランス語の他に多数の民族語が存在し、地方ではフランス語を理解できない人口も多い。そのため番組の吹替えが重要であり、デジタル化により番組の吹替えが効率化し、より多くの人口に裨益することが期待されている。

インドネシア 訓練センターへの協力

  (無償)「ラジオ、テレビ放送訓練センター建設計画」(1982~1984):センター施設の整備、訓練用機材の供与
  (無償)「放送技術強化計画」(1990~1992):訓練施設と機材を拡充
  (無償)「マルチメディア訓練センター訓練機材整備計画」(2002~2003):アナログ機材をデジタル機材へ更新

 マルチメディア訓練センター(MMTC )は、国営テレビ局(現:インドネシア・テレビ公社、TVRI)、国営ラジオ局(現:インドネシア・ラジオ公社、RRI)及び政府の放送人材育成を目的として開設され、1985年の協力により施設・機材が整備された。1983~1992年には、MMTCの養成能力の向上を目的に、プロジェクト方式技術協力(現:技術協力プロジェクト)を実施、番組制作や技術の各種専門家が派遣された。その間の1990年には、中級、上級の訓練コース実施のため必要な施設整備と機材供与が行なわれた。その後、国営局だけでなく、民間放送局の局員などを対象とした一般コースも開設、またアジア地域のテレビ番組制作者育成を目的とした第三国研修(1997~2001年)を実施するに至った。

 しかし、過去に整備されたアナログ機材の老朽化が著しく、またデジタル機材を使用した訓練コースへのニーズが高いことから、2002~2003年にデジタル機材への更新のための協力が行なわれた。


ボランティア

 JICAは、ボランティア事業を通じても、放送分野における協力を行ってきた。ボランティアによる放送分野の協力は、主に青年海外協力隊(JOCV)とシニア海外ボランティア(SV)事業によって実施されてきた。


青年海外協力隊(JOCV)

 JOCVが放送局において活動を行っている事例は多くないが、番組や映像制作に関わっている事例は多い。例えば、省庁、地方政府や教育機関において、教育番組の制作、保健医療や教育分野の視聴覚教材の作成、村落開発普及員がラジオ番組の企画や制作を行なうなど、現地のニーズに合わせ多様な活動が見える。JOCVは放送の専門家ではないが、音声・映像制作がより簡易化されるにつれ、このような活動事例が今後も増加すると予想される。

シニア海外ボランティア(SV)

 専門技術と経験を有するSVは、放送局や政府機関における課題点の改善を期待される事例が多く、中でも一つの専門分野としては括れない幅広い活動を行なっていることが特徴である。例えば、デジタル機材への更新計画への助言や運用・保守技術、経営改善のための助言などが挙げられる。途上国放送局は国営局の公社化や機材のデジタル化など様々な意味での変革期にあり、一つの専門分野に捉われない活動は重要と言える。



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