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課題別指針



カ テ  ゴ リ


アプローチと重点項目

更  新  日


2012/05/14 10:35



分 野 課 題


情報通信技術 情報通信技術






主  管  部


経済基盤開発部、情報通信技術課題タスクフォース






ト ピ ッ ク ス

















【放送】放送に対するアプローチ 開発目標4 各分野への放送活用





開発戦略目標4 各分野への放送活用

 中間目標4-1 各セクターにおける利活用
 中間目標4-2 ガバナンス向上に資する利活用


開発戦略目標4 各分野への放送活用

 本開発戦略目標は、2-2において記載の3つの開発戦略目標による協力を経ることにより、または他ドナーによる協力、相手国自身の課題対処により、放送の基盤構築が最低限整っていることを前提とした協力のアプローチである。2008年10月、JICA・JBICが統合し、新JICAとして無償資金協力・有償資金協力・技術協力の3スキームを有機的に組み合わせた支援が可能となった。また、同月より民間連携室が設置され、PPP(Public-Private Partnership)の枠組みによる新たな支援体制も整いつつある。

 放送の分野特性においては、ICTと同様、情報の行き来や通信の活発化を通じて、政府・民間などのセクターを問わず、他分野における開発の効率性を向上させ、総合的な効果向上に貢献できる。すなわち、放送を一つのツールとして利活用することで、相手国全体のキャパシティ・ディベロップメント(CD)に貢献し得る(CDとの関連については第3章を参照)。

 放送は、瞬時に広範囲に情報を伝播できるという特性から、真に公共の福祉を増進することを目的とした場合、社会に対して、大きな正のインパクトをもたらし得る。また、基本的に、受信側のコストは比較的小さく、特別なリテラシーも必要とされないため、基礎教育分野などマスに対するコンテンツ発信などにおいては大きな比較優位性を持つ。

 本開発戦略目標については、JICAとしてほとんど実績がないため、他ドナーや民間の事例等を参考にしながら、今後積極的に取り組むことが必要になるだろう。


中間目標4-1 各セクターにおける利活用

 放送は、番組など各種コンテンツの配信を通じて、農業・保健医療・教育分野等、各分野への有用な情報を、瞬時に広範囲に共有できる。例えば、JICAにおいては、ザンビアにおける農業情報普及アドバイザーの活動によって、ラジオ放送を通じて遠隔地農民への農業情報普及を行ったケースがある。本案件では、専門家によるワークショップ・研修の実施や、手巻き・ソーラーバッテリー駆動式ラジオの配布などにより、ザンビア農村住民へ新たな知識や技術を提供するために重要な役割を果たした。

 このように、放送分野は、各種コンテンツの制作、記録、発信などの活動を通じて、他分野の課題対処能力を補完的に高めることができる。放送は、インターネットや電話とは異なり、基本的には不特定多数への通信手段として、均一のコンテンツを同時に配信することとなるため、コンテンツの対象者が偏りすぎない方が望ましい。他方、近年「コミュニティ放送」として、コミュニティによるコミュニティのための放送についても重要性が認められてきており、より小規模の放送についても、JICAによる協力の可能性を検討していくべきだろう。

 また、特に防災分野への貢献においては、災害発生時の貢献として、緊急時に迅速に情報を伝達するためのインフラ網・システム整備や、コミュニティとの連携等が重視される。例えば、日本のテレビ、ラジオによる「地震情報」、「津波警報」や、「緊急地震速報」に当たるような防災情報システム構築も、今後の検討事項とすべきだろう。ただし、このような放送網の構築によるテレビ・ラジオ等の活用、予警報システムなどは、防災に関する課題対応能力を高める上で必要十分でなく、コミュニティにおける避難経路確保など、防災に対する一般的な施策が必要となることを留意すべきである。また、災害予防における放送活用の貢献としては、コンテンツ配信を通じた災害予防に係る啓発などが考えられる。

 なお、JICAでは2011年に発生した東日本大震災の経験を活かして「復興外交セミナー」を実施予定。また、防災へのICT利活用に関してもセミナーを実施する予定。

JICAの取り組み

  各セクターにおける利活用に関して、JICAは「マスメディアを通じたエイズ教育プロジェクト」や「テレビ番組による授業改善プロジェクト」などの援助例がある。今後は、放送の防災への利活用として、放送設備の整備と同時に緊急予警報システムの導入も意識した支援が考えられる。



中間目標4-2 ガバナンス向上に資する利活用

 放送分野に係る全体的なキャパシティ・ディベロップメント(CD)を実現することで、ガバナンス向上に資することができる。権力のwatch dogとしての透明性の高いメディア運営、それを支える法制度の整備、国政プロセスの可視化(政権放送・国会放映導入など)、国民のメディアリテラシー向上などのすべてを含めたCDの結果として、グッド・ガバナンスへの効果が緩やかに表れてくることとなる。

 ただし、指導者による悪用の可能性があるなど、そもそもグッド・ガバナンスが期待できない国に対しては、(国営)放送局への支援等は危険なものとなる。また、国営放送しか存在しない、メディアの数が限られているなどの状況では、放送内容によっては過剰にナショナリズムを高揚させる危険性も孕んでいることを留意すべきである。

 また、全分野への基底となる協力として、放送を多言語/多文化社会における多言語・文化共生のためのツールとして活用することも検討すべきだろう。字幕放送・多重音声放送などによりコンテンツを多言語対応とすることは、多言語/多文化社会における情報共有・伝達手段として非常に有効である。例えば選挙放送等の多言語化は、少数社会の政治/社会参加を促す。加えて、手話放送、副音声放送支援などにより、放送に係るバリアフリー化を推し進めることで、途上国開発におけるInclusiveな課題対応にも貢献し得る。また、同様の番組・コンテンツを閲覧することによって、多言語・多文化社会においても、共通意識を醸成できる。その一方で、やはり放送の発信者や対象者が偏った場合などは、コンテンツ自体が排他性を持つこと、ナショナリズム扇動の道具として用いられやすいことにも留意が必要である。

JICAの取り組み

  ブータンの「国営放送能力強化プロジェクト」(2007‐2010)はテレビで選挙報道を行うなど、ガバナンス向上の資する放送の活用に対する支援をJICAは行っている。今後も、放送が持つ広域への同報性を利用することにより、ガバナンスの向上に資するコンテンツ開発と放映に対する支援を充実させるべきであろう。


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