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課題別指針



カ テ  ゴ リ


アプローチと重点項目

更  新  日


2005/05/31 16:09



分 野 課 題


民間セクター開発 貿易・投資促進






主  管  部


経済開発部、民間セクター開発課題タスクフォース






ト ピ ッ ク ス

















---開発戦略目標3 外国直接投資促進のためのキャパシティ・ビルディング






中間目標3-1 投資関連政策・制度の策定/適切な運用のための体制整備
中間目標3-2 民間セクターに対する情報提供サービスの充実

開発戦略目標3 まとめ



中間目標3-1 投資関連政策・制度の策定/適切な運用のための体制整備

投資活動は貿易活動と同様、民間セクターが主体となる活動であるが、その促進には途上国に投資した海外の企業が、その国で自由で円滑に活動できる環境づくりが重要であり、その意味で途上国政府の役割は大きいといえる。

外国直接投資については、受入の促進を政策に掲げている途上国が多いものの、適切な施策を策定するための行政知識、人的資源が不足しているのが現状である。さらに長期間の資本移動を伴う投資活動を推進するためには、安定的、継続的な政策が必要であるにもかかわらず、税制などの制度の頻繁な変更により、結果として継続的な投資促進に繋がらない例も多い。投資活動を促進し、開発につなげていくためには、まず自国の産業政策、貿易振興政策と整合性のとれた包括的な投資促進政策を策定した上で、各種法制度の整備・改善を行う必要がある。制度整備については、まず投資や競争を制限するような既存の政策・制度を改善し、投資の自由化を促す法整備が必要であり、特に国際的な投資自由化の流れから、市場へのアクセスや、内国民待遇、最恵国待遇の確保に留意していくことが重要である。さらに政策および法制度については、急激な変更を避けるなど一貫性を保ち、実施の段階でも紛争処理制度の整備や腐敗の撲滅など、透明性を高め市場からの信頼を得ることが必要である。また自由化に加え、投資を通じた事業活動や競争を促進するような政策・制度を構築することが必要となる。特に投資した企業が、立地→原材料を国内外から調達→製品を製造→輸送・輸出するまでの一連のプロセスをスムーズに実施していくための制度を整備する必要がある。

また、特に政策的な裏付けの下で輸出加工区を設置し、ハードとソフトの投資優遇策をパッケージ化することは、外国投資家に魅力的な投資環境を効率よく提供することを可能にするばかりでなく、自国における地域振興の観点からも有効である。

JICAの取り組み

投資促進に関するJICAの取り組みとしては、貿易振興への協力とセットにする形でASEAN諸国を中心に投資促進政策、制度整備への提言や、投資関連法整備への協力、および投資した企業の活動をサポートする資材調達の円滑化(貿易手続き、基準認証等)を主に行ってきている。

投資促進政策・制度整備に対しては、集団研修による知識移転の他、各国の状況にあった政策を策定するためにアジア、東欧諸国を中心に開発調査を活用した投資促進策定支援や、投資促進アドバイザーの派遣を実施している。また輸出加工区の設置支援では、開発調査によるマスタープラン策定やフィージビリティ調査、専門家による政策支援を実施している。

投資関連法、規則・ルールの整備に関する協力は、集団研修による一般的知識の移転や専門家によるアドバイスにより実施している。具体的には、「投資環境法整備研修コース」(集団研修)がある。

資材調達の円滑化に関する協力は、原材料の調達や、製品の輸出の円滑化に必要な輸出入制度の整備や手続き、業務の簡素化、効率化などへの政策支援を実施している(中間目標2-1を参照)。工業標準、検査体制の整備については、専門家による工業製品認証制度確立支援などを実施している。

この課題に関する案件形成上の留意点は次の通り。

●投資促進については、多様な課題に留意
投資は、企業の一定期間にわたる継続的な活動を伴うものであり、短期的な物流を意味する貿易とは、その時間軸の長さや、リスクの大きさが異なる。そのため、本節で論じる投資分野に直接関連した課題の他、その基盤として中間目標1-1にある「(企業活動を円滑化するための)経済インフラの整備」や「(良質な労働力を提供するための)人材育成」、あるいは、「良好な労使関係」などが、投資促進の場合は特に重要な要素となる。また本指針では対象としていないので論じていないが、「政治情勢」、「治安」、「マクロ経済の情勢」、「ガバナンス」などのカントリー・リスクは、企業が投資を決定する際に極めて重要な判断材料となる。したがって、途上国の投資を促進するためには、鉱工業分野等の投資誘致に関連性が高い分野のみならず、当該国のガバナンスや教育水準、インフラの整備状況などを十分に踏まえた上で協力していくことが重要であり、そのために協力する側も一企業の立場に立った視点から検討していくことが求められる。

●各国の長所、短所を踏まえた国ごとの政策策定
投資促進は、多くの国の中からいかに企業の経営資源を自国に誘致するかという観点から、他国との差別化をすることが重要である。そのために、各国が有する長所、短所、例えば天然資源、地理的条件、言語、経済圏の中での位置づけなどを踏まえた政策策定が必要となる。

●産業政策、財政との整合性
投資誘致の結果を開発に結びつけるためには、進出外国企業への部品や原材料の供給が可能な技術水準まで現地中小企業を育成していくなど、投資誘致と国内の産業振興政策をリンクさせることが重要である。特に投資を通じた技術・経営ノウハウ移転の促進を通じ、国内産業の多様化・高度化・高付加価値化および生産性の向上など国際競争力の強化を目指すことが求められる。他方で、これまで一部アジア諸国でとられてきたような、特定産業の保護・育成や、国産化要求といったパフォーマンス要求など市場メカニズムをゆがめる恐れのある介入主義的政策は、国際的な投資自由化の潮流からは、慎重な対処が必要である。むしろ今後は自由化のメリットを生かせるような政策の策定支援が求められよう。

また、優遇税制など策定・実施には、一方で国家財政への影響も考えられることから、貿易・投資関連省庁のみならず、財務省など財政当局を十分に参画させる必要がある。

●輸出加工区の設置には慎重な検討が不可欠
投資促進策として効果的とされる輸出加工区の設置は、グローバルな市場のニーズに合致した条件を整えないと、企業の立地に繋がらず、ハコモノの整備に終わる可能性があることには留意が必要である。また、東南アジア諸国で指摘されているように、現地企業との経済取引に繋がらないなど「飛び地経済」を形成する可能性もあるため、計画段階で全国的な開発計画を踏まえておく必要がある。

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中間目標3-2 民間セクターに対する情報提供サービスの充実

直接投資は、経営資源を移転し、長期にわたり事業を展開する関係上、企業側の経営判断に関しては、貿易をする場合よりもさらに慎重な検討がなされる。そのため、投資を促進するためには、途上国政府としては単に政策・制度や人的資源を整備するのみならず、潜在的な投資家に対し、適切かつ効果的・魅力的に自国の投資環境を発信することが重要である。また市場のニーズに合った投資環境の整備のためには、国際的な市場動向や、投資企業が存在する国の経済・産業動向を十分に把握する必要がある。他方で、多くの途上国では、産業統計など自国の投資環境に関する情報が十分に整備されていないばかりか、そもそもどのような情報の整備が投資促進にとって必要であるかという知識も不足しているのが現状である。また、市場動向や他国の情報についても十分に把握できておらず、潜在的投資企業に適切なアプローチが出来ないことが多い。さらに情報の整理の仕方やアクセスの利便性についても、ユーザーである潜在的投資家の扱いやすいものにはなっていない。

このような観点から、潜在的投資企業に対する投資関連情報やサービスの提供が有効である。また、提供する情報の質も重要であり、信頼性の高い統計の整備と維持管理をするための体制を整備していくことも必要である。情報提供の方法としては、投資窓口の設置やパンフレットの作成、インターネットなどITの活用が挙げられるが、ユーザーの立場に立った魅力的なコンテンツを作成するための技術・知見の移転や投資家を発掘し、商談を促進するための投資ミッションの派遣、投資セミナーの企画・開催など、国内外への投資促進活動への支援も効果的である。

JICAの取り組み

JICAでは、投資促進のためのアドバイザー型の専門家を派遣しており、アジア各国をはじめ、ポーランド、エジプトなど多数の国への実績がある。また、産業統計の整備について、タイ、フィリピン等における生産統計開発の開発調査や専門家派遣により支援している。また、投資アドバイザーの業務の一環として、投資セミナー開催、投資ミッション派遣の企画・運営に関するアドバイスを実施している。

この課題における案件形成上の留意点は次のとおり。

●投資アドバイザーは途上国側のキャパシティ・ビルディングを重視
これまでの投資アドバイザーの専門家は、主に投資促進の窓口支援、とりわけ日本企業からの投資を念頭に置いた協力が多く、実際、途上国側からもそのような役割を期待されることが多いが、ともすれば直接窓口を担当するような役務提供的な協力に留まる懸念があった。持続的な投資促進を推進するためにもノウハウの移転に努め、キャパシティ・ビルディングを重視していくことが必要である。

●中小企業の投資誘致を重視
投資誘致の成果を開発に繋げていくためには、規模の大きな多国籍企業のみならず、途上国へ実際に移転できる有用な技術を有した中小企業の誘致にも力を入れる必要があり、そのためには、投資した大企業の関連下請け企業の誘致や、中小企業向け投資セミナーの開催などが考えられる。なお特に低開発国の場合は、投資に伴うリスクが大きくなる、あるいはリスク関連の情報が不足しているため、中小企業のみの進出は実際上困難であることが多い。したがって中小企業の誘致に関する施策は、既にある程度の多国籍企業が活動し、リスクの予測が容易である国(ASEANや中国など)においてより効果的であり、セミナー等を活用した当該国のリスク関連の情報開示も必要である。

●多様な国からの投資誘致
前述のように、これまでの協力は途上国側からの要請もあり、日本企業からの投資を念頭に置いたものが多かったが、途上国の開発を達成するというそもそもの目的から、またグローバルな経済関係を構築し、単一の国の景気変動の影響を受けにくい安定した経済を築くためにも、今後は日本企業に限らず多様な国からの投資受け入れを促進する協力が求められる。また、その観点から、地域経済圏の枠組みなどその国を取り巻く国際的な動きに合致した的確なアドバイスが必要である

●情報提供は利用者の視点に立った魅力的な内容・コンテンツおよび発信方法とするよう留意
各国の貿易投資振興機関が発行しているパンフレットやホームページなどが提供している投資関連情報を比較すると、特に後発開発途上国(Least Developed Countries:LDC)諸国のものは、情報量として極めて貧弱な上、その内容や発信の方法も一般企業にとってアクセスしづらいことが多い。情報整備の実現は相応のコストと時間がかかるものであり、協力の必要性も高いが、利用者の視点から、とりあえずコンテンツを工夫し既存の情報を使いやすく加工するだけでも大きく改善される可能性がある。またコンテンツを検討する中で、必要な情報の特定もできる。まずは各国の事例を比較分析し、魅力的なコンテンツや発信方法を検討していくことから始めることも重要である

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開発戦略目標3 まとめ

中間目標3-1 投資関連政策・制度の策定/適切な運用のための体制整備

中間目標のサブ目標
プロジェクト活動の例
事例番号*
JICAの主たる事業
投資関連政策・制度整備
産業政策立案支援
4、5、7
・経済政策支援、市場経済化支援(開発調査)
・産業/工業分野開発振興計画(開発調査)
・経済政策支援、市場経済化支援(開発調査)
外国直接投資誘致に係る政策面での助言
1~3、7
・投資促進政策支援(専門家)
・投資促進セミナー(研修)
・貿易・投資促進実務の能力向上(研修)
投資関連法の整備
法律、協定、規則等の整備(投資法、競争法、投資保護協定、外国人就業規則、現地人雇用規則等)
10、12
・投資環境法、競争法整備策定支援(研修/専門家)
知的財産権の確立、整備
11
・知的財産政策/行政に対する助言/担当官の能力向上(専門家、研修、技プロ)
輸出加工区設置に係る組織・法制度整備
8、24
・工業団地フィージビリティ調査(開発調査)
・企業誘致支援(専門家)
資金調達の円滑化
×
輸出入制度整備、手続・業務(許認可、通関、港湾、検疫、出入港手続等)の簡素化、効率化(ワンストップサービス、IT化等)
×
 
民間手続・業務(荷主・運輸・銀行等の間の権利移転
手続、運送契約、保険契約等)の簡素化、効率化
国際的制度(基準・認証)に対する技術向上
25、26
・試験検査機関の能力向上(技プロ)
・計量・標準機関の能力向上(技プロ)
関税引き下げに向けた政策助言(税関行政/政策)
9、16
・関税政策策定支援(専門家)
・税関担当官の能力向上(専門家、研修)
・税関における分析能力の強化(専門家)

中間目標3-2 民間セクターに対する情報提供サービスの充実

中間目標のサブ目標
プロジェクト活動の例
事例番号*
JICAの主たる事業
投資環境情報/サービスの整備
投資窓口の機能強化
3
・投資アドバイザー派遣(専門家)
ジャパンデスクの設立・運営
3
・投資アドバイザー派遣(専門家)
外国企業誘致政策の紹介
3
・投資アドバイザー派遣(専門家)
企業データベース作成 
×
企業コンサルティングサービス 
産業、生産統計整備
43
・産業・生産統計整備支援(開発調査/専門家/研修)
×
投資対象案件のF/S調査
投資の相互交流促進
×
地域経済圏対応支援(合意事項履行への政策助言)
3
・貿易振興機関の機能強化(技プロ)
投資セミナー開催、投資ミッション派遣
3、22、23
・貿易振興機関の機能強化(技プロ)
・投資アドバイザー派遣(専門家)
企業データベース作成・産業・生産統計整備支援(開発調査/専門家/研修)
*「事例番号」は付録1の別表の案件リストの番号に対応。

プロジェクト活動の例:
◎→
JICAの中小企業振興協力事業において比較的事業実績の多い活動
○→
JICAの中小企業振興協力事業において事業実績のある活動
△→
JICAの中小企業振興協力事業においてプロジェクトの1要素として入っていることもある活動
×→
JICAの中小企業振興協力事業において事業実績がほとんどない活動
JICAの主たる事業:
☆→
実施例は数件であるものの、今後の先行例となりうる事業
形態略語
形  態
技プロ技術協力プロジェクト
長専長期専門家派遣
短専短期専門家派遣
開調開発調査
草の根草の根技術協力
無償無償資金協力
JOCV青年海外協力隊
SVシニア・ボランティア
集団集団研修
国特国別特設研修
地特地域別特設研修
第三国第三国研修






添 付  資 料


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