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課題別指針



カ テ  ゴ リ


アプローチと重点項目

更  新  日


2004/09/27 10:38



分 野 課 題


民間セクター開発 中小企業育成・裾野産業育成

更  新  者


経済開発部民間セクター開発課題支援スタッフ



主  管  部


経済開発部、民間セクター開発課題タスクフォース

公  開  日


2004/09/27 12:09



ト ピ ッ ク ス



承  認  者


経済開発部中小企業チーム












---中小企業振興の課題、協力の基本的考え方





■中小企業振興の課題
 中小企業の成長発展に資する事業環境に関する課題
 中小企業に内在する課題 
■協力の基本的考え方



 中小企業振興の課題

中小企業振興分野の課題は
「中小企業の成長発展に資する事業環境に関する課題」
「中小企業に内在する課題」(注1)
の2つに分けて考えることができる。主要な課題を概観すると以下のとおり。

(注1):
中小企業振興の開発課題体系図案では、「中小企業に内在する問題」を、振興目的の見地から「産業競争力の強化に資する中小企業の育成」と、「地域社会の活性化・雇用の操守に資する中小企業の育成」の2つに分けて、プログラムを検討している。


 中小企業の成長発展に資する事業環境に関する課題

●事業環境に関する課題:
(1)市場経済の基本制度の整備・運用
(2)適切な政策立案・行政組織の整備
(3)資金供給の円滑化
(4)産業活動を支える知的インフラ(制度)の整備・運用
(5)貿易・投資制度の整備

(1)市場経済を支える基本制度の整備・運用
企業関連法制度、政府規制、ビジネス慣習等企業が円滑に市場に参入・退出でき、市場において公正・自由な企業活動を行うための基本的なルールの整備・運用に関する課題である。途上国全般において散見される問題であるが、特に後発開発途上国、市場経済移行国においてはその整備と適切な運用が遅れている。

(2)中小企業振興に関する適切な政策の立案、行政組織の整備
多くの途上国では、中小企業振興の根拠となる基本法がない(注2)、このため、予算措置を含む政府(中央・地方)の役割や責任範囲が不明確であり、長期にわたる政策一貫性の確保が困難である。また、中小企業専門の行政組織が未整備及び行政官の能力不足により(注3)、中小企業振興施策が効果的に立案・実施できないケースもある(注4)

(3)資金供給の円滑化、自己資本充実のための諸制度の整備・運用
企業が成長発展する上で直面する最大の課題の1つに、長期資金へのアクセスの問題がある。多くの途上国では、民間銀行の金融仲介機能が十分でなく、また資本市場も未整備なため、資金・資本の獲得が非常に困難である。特に、リスク評価が困難で、借入額も小さい中小企業は更に不利な状況に置かれており、これを是正する制度の整備・運用が重要となる。 

(4)産業活動を支える知的インフラの整備・運用
企業活動を支えるインフラには、電気、水、道路、通信、港湾といった物理的なインフラに加え、産業の知的インフラとも言うべき種々の制度が含まれる。具体的には、標準制度、知的財産権保護制度、統計制度等があげられるが、多くの途上国ではこうした産業活動に密接な知的インフラが未整備である。

(5)貿易・投資制度の整備
貿易・投資制度は、企業が海外に新たなマーケットを開発したり、外国企業との連携を図ったりする上で大きな影響を及ぼす(注5)。途上国では、貿易・投資に関する種々の制度や規制が、国際貿易・投資のメリットを享受する上での阻害要因になっているケースがある。
貿易・投資制度の関連では、WTO協定に基づく義務の履行とともに、現在、各地で地域経済統合が急速に深化している。中小企業の成長発展に影響を及ぼす事業環境として、こうした地域固有の事情も念頭に置く必要がある。


(注2):
例えば、ASEANでも、タイが2001年になり基本法の制定を行ったが、インドネシアでは、現時点で未だ基本法は制定されていない。また、法の未整備により、国として統一した中小企業の定義が存在せず、中小企業に関わる複数の公的機関が異なる中小企業の定義を使っている実態もある。

(注3):
中小企業振興を専門に担当する行政機関が設立されていたとしても、設立されてまだ日が浅いところが多いため、予算や人員の確保、職員の行政能力等の課題は残る。

(注4):
途上国によっては、政府のガバナンスの問題から行政組織に対して根強い不信感を抱いている場合もあり、こうした場合は特別な配慮が必要となろう。

(注5):
貿易の自由化により競争力を有さない中小企業が淘汰されることも多く、社会の安定といった見地から、競争力を持たない中小企業の保護を検討することも必要になろう。外国投資の誘致が中小企業にもたらす便益は様々であり、資本基盤の充実、最新経営技術の導入と流布、輸出志向型の外国企業であれば輸出の拡大等、中小企業の発展に果たす役割は大きい。なお、中小企業の保護の程度に関しては、WTO等の国際規律との整合性を踏まえる必要があるが、セーフガード協定の運用を見ても分かるとおり、どこまでが許容範囲かは今後の紛争処理の事例を詳しくフォローしていく必要があろう。


 中小企業に内在する課題

中小企業に内在する課題:
(1)経営資源の不足
 ・人材不足
 ・経営・技術ノウハウ不足
 ・資金不足
 ・市場情報の不足
(2)企業間リンケージの形成
(3)地域振興

(1)個々の企業の経営資源の不足
    1)人材の不足
    途上国では産業人材の不足が著しく、特に、中小企業の現場を担う技能者が圧倒的に不足している。また、教育機関や職業訓練校等は、中小企業の需要に合致した人材育成を行っているケースは少なく、労働市場においてミスマッチが多く見られる。また、中小企業自身も、中長期的な見地から人材育成を行うことは少なく、人材不足が中小企業の成長発展の大きな課題となっている。

    2)経営・技術ノウハウの不足
    途上国の中小企業の多くはオーナー経営者であり、中長期的な見地からビジネスプランをたてる経営ノウハウを有している人材は少ない。また、資金力がないため、研究開発等を通じた技術ノウハウの開発ができない。経営・技術ノウハウの不足は、中小企業が創造的な事業を開始したり、事業転換等を行ったりするうえでの大きな阻害要因となっている。

    3)資金の不足
    途上国の中小企業の多くは慢性的な資金不足に直面している。また、これら中小企業は一般的に担保力やビジネスプランをたてるノウハウに欠け、借入額も小さいので、民間金融機関からの資金調達は極めて難しい。この結果、成長に必要な中長期的な投資ができなくなり、市場競争から脱落せざるを得なくなる。資金不足自体に加え、資金へのアクセスが、大企業に比して大きく制限されている点が問題である。

    4)市場情報の不足
    中小企業は一般に情報収集力が弱く、途上国の中小企業は市場情報を特定のトレーダーに依存していることが多い。このため、原材料や労働力の点で優位性をもっていても、市場の中でそれらの優位性を活かすこと、即ち市場ニーズに応じた商品提案ができないため、新たな売り先の確保ができず、事業の拡大ができないケースが多い。
(2)企業間リンケージの形成
中小企業の競争力は、企業間リンケージに基づく分業と特化のメリットを通じるとより発揮されるケースが多い(注6)。組立企業を頂点とする裾野産業、同業種の集積を通じて規模の経済性を発揮する産地等が代表的であるが、途上国では、こうした企業間リンケージの形成が十分でなく、中小企業の潜在的な競争力が十分に活用されていない。

(3)地域振興
基本的には上記(1)の経営資源の問題に集約される課題である。地方分権化が進む途上国では、地域間格差を是正するための地方産業の振興は重要課題である一方、地方産業の担い手は多くの場合中小企業である。地方・農村部の潜在失業者に対して農業以外の新たな雇用機会を創出するには、地場の資源を活用した中小製造業の育成が有効である。しかしながら、途上国の地方・農村部では、地場資源の活用方法、マーケット情報、製品提案・開発力、販売力、人材等が絶対的に不足している。

(注6):
例えば、大田区の金属加工業。



 協力の基本的考え方

中小企業の多様で活力のある成長発展を通じ、産業構造の高度化、就業機会の増大、地域経済の活性化を図ることを目指す。

本指針では、中小企業全体を弱者とみなし、広く底上げを図る社会政策的な考え方はとらない潜在成長力を有する中小企業への支援を通じ、産業構造の高度化を含む経済発展を促進するアプローチに重点を置くこととする。


出典:
独立行政法人国際協力機構(2003年12月)『課題別指針 中小企業振興』






添 付  資 料


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