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2013/05/17 10:48



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指針2-4-2 JICAの貧困削減協力に対する3つの留意点





引用元: 課題別指針「貧困削減」(2009年9月)の第2章「JICAの協力の方向性」(2-4-2)

JICAの貧困削減協力に対する基本姿勢と留意点

2 3つの留意点
JICAは貧困削減協力事業の実施にあたっては、以下の3点に留意する。 
※青字部分をクリックすると各項目へジャンプします。

(1)事業実施が貧困層に及ぼす負の影響の防止/最小化
(2)社会的包摂(Social Inclusion)の促進
(3)コミュニティの固有性や貧困層の多様性に応じた支援



(1) 事業実施が貧困層に及ぼす負の影響の防止/最小化
 貧困層は、環境の変化を受けやすく、そうした環境の変化を引き起こす一例として、開発援助も例外ではない。そのため、JICAの協力に当っては、事業の自然環境・社会環境への正負の影響を事前に検討し、貧困層を含めた対象地域住民が、中長期的に持続的且つ安定的に生計を営み生活できるよう、必要に応じて措置を講じる必要がある。例えば、稲作栽培の作業効率を上げるために、水田に直播する栽培方法が技術協力によってもたらされた場合、従来行われていた田植えの作業が省略される一方、結果として、土地なしの農業労働者や貧困家庭の日雇い女性の収入機会を奪うことになる。農地を持つ農民は、事業の便益を受けることができるが、援助側は、無意識のうちに、土地がない人々を事業の対象から除外しているだけでなく、事業の実施が、これらの人々の生活に負の影響を与えることになってしまう恐れがあるということに、我々は常に意識的であるべきである52。事業実施が、貧困層に及ぼす負の影響の可能性を検討するためには、具体的には事業の準備実施計画書や事前評価表、或いは審査調書等、計画の最初の段階の意思決定において、より厳密な関係者分析を行うことが役立つだろう。
 現在、JICAは、統合後の新しい環境社会配慮ガイドラインを策定中であり、環境社会配慮の必要な項目として、「貧困層や先住民族等、社会的に脆弱なグループ」を挙げている。また、社会環境と人権への配慮として、「女性、先住民族、障害者、マイノリティ等、社会的に弱い立場にあるもの」の人権については、特に、配慮する方向で検討している。事業計画・実施段階に当っては、JICA関係者一人ひとりが意識を持って、本ガイドラインを遵守する。

(2) 社会的包摂(Social inclusion)の促進
 社会的差別や様々なプロセスからの貧困層の排除が、貧困からの脱却を困難にしているとの認識の下、事業実施に当っては、周縁化集団を含む貧困層の事業への参画、即ち社会的包摂を積極的に進めることが、肝要である。特に、女性、少数民族、障害者、HIV/AIDS感染者、低カースト層等、様々な差別により、社会的に孤立化させられ、周縁的立場に追いやられる傾向の強い人々は、経済活動や政治参加の機会、及び財やサービスへのアクセスが制限され、結果的に最貧困層を形成する場合が多い。そのため事業実施に当っては、様々な社会的属性、故に差別を受け、開発プロセスから除外される傾向にあった人々が、自身の意思を表明できる機会を提供し、意思決定に参加するスキームや制度を検討することが重要である。その前提として、何らかの支援を行う際には、まず社会的排除の現状(排除された人々、排除の要因や包摂のエントリーポイントの特定等)を十分に把握し検討する必要がある。例えばDFID(Department for International Development: 英国国際開発庁)と世界銀行は共同でネパール国政府によるカースト、ジェンダー、民族ごとの社会的排除評価にかかる支援を行っている53。また、JICAでも、同国政府の社会的包摂政策・施策を直接支援する「ジェンダー主流化・社会的包摂促進プロジェクト」を開始している54

(3) コミュニティの固有性や貧困層の多様性に応じた支援
 それぞれの社会には、歴史や自然環境に育まれた固有の慣習や決まりごとがある。また、社会関係、組織や個人を繋ぐネットワーク等も、その社会毎に多様である。外部者の目には、同じように映る貧困状況も、その原因や結果は、当該社会の固有性を反映するために多様であり、どの社会にも応用可能な普遍的な解決方法がある分けではない55。また、その社会が持っている社会階層や相互扶助のシステム、公的な機関や市民組織との関係の在り方、そもそも援助を受けることに関する価値観等、様々な固有要因が、貧困削減協力に、大きな影響を与える。更に、従来は、民族や宗教等を共有する人々の帰属意識と空間的単位がほぼ一致していると一般的には考えられていた「コミュニティ」の概念は、一概にそのようではなく、特に、紛争や情報・交通手段の発達と共に、広域化・点在化していることにも留意し、従来の「地域社会」の枠にとらわれない支援を計画し実施すべきである56

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【脚注】
52:事例の詳細は国際協力機構(2007)を参照。
53:DFID(2005), p.17
54:ネパール政府は、新しい国作りの政治・行政プロセスに、女性、低カースト及び少数民族等の社会的に不利な状況に置かれてきた人々の参加を促し、併せて、このような人々が、行政サービスを享受することを実現するために、地方行政レベルでの社会的弱者支援予算の確保、行政サービス実施体制の構築を、最大の課題として取り組んできている。本プロジェクトは、中央及び対象2郡において、ジェンダー・社会的包摂の視点に立った行政メカニズム(計画立案、実施、モニタリング、評価、プログラム/プロジェクト審査、予算の監査)の構築及び中央・地方政府関係機関の行政メカニズムにかかる能力強化を実施する。
55:社会の固有性への着目については、例えば大濱裕(2007)や国際協力事業団(2002b)を参照。
56:例えば、パレスチナのディアスポラのように、紛争によって散在した国内外避難民のコミュニティ等。

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添 付  資 料


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